保育士の悩み

保育士のサービス残業の多さが本当に辞めたい理由ではない

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辞めたいと悩む保育士の多くが残業問題を抱えています。

保育園によっては残業ナシ!と謳っているところもありますが、たいていは持ち帰り仕事が多くなっているというのが現状…。

体力的・精神的にハードな仕事なのに、対価となるお給料が安いことから保育士不足問題が続いているのでしょう。

「仕事量が多くて給料が安い」状態をこの先ずっと続けていくことに不安を感じ、辞めたいと考えるのも当然ですよね。

でも、辞めたいと思う本質は仕事量や給料の低さではなく「働く環境そのもの」が原因であることがほとんどだと思います。

ここでは、保育士の働く環境の実態と少しでも良い環境に変えるための方法をご紹介します。

保育士のサービス残業の実態

厚生労働省の調査では「保育士の平均残業時間は月4時間」と発表されています。月4時間ということは週1時間程度の残業です。

「あれ?残業少ないじゃん?」と思いますよね。これは残業時間を申請しない=サービス残業をしている保育士がどれだけ多いかを表していると言えます。

定時の前後に平均1時間、行事前などの繁忙期には2~5時間もの残業をすることも珍しくありません。
実際に、とある自治体が集計した結果約80%の保育士が残業代が支払われていない・休憩が取れないと訴えていると発表しました。

私の働いていた園では、残業は基本的に事前申請で主任→園長→事務局の承認が下りなければ無効になるというシステムでした。
「計画的に仕事をすることが必要」ということらしいですが、勤務時間内はずっと子どもと過ごしていて書類仕事をするわけにはいかない、そのためサービス残業や持ち帰りをするしかない状況でした。

残業代を支払って欲しいと言うと、「もっとしっかりと計画して進められるはずだ」と状況が変わることはありませんでした。
そのうち、だんだんと訴え続けるのに疲れて、サービス残業や持ち帰り仕事を受け入れてしまっている保育士がほとんど…という状況になっていると思います。

休憩もないのが現状の保育士

1時間の休憩時間を含めた9時間勤務でシフトが組まれるのですが、1時間も休憩を取れることなんてないです!というか、ホッとできる時間なんてほとんどないですよ。

子供たちが午睡の間に休憩って言っても、乳幼児突然死症候群(SIDS)を防ぐために5~10分ごとに呼吸チェックする必要があるから休んだ気がしません。

もしくは、子供たちと一緒にお昼ご飯を食べる時間が休憩とされることもありますが、早く食べ終わって子どもたちの元を回らなくてはと思うので、これもまた全く休めません。

休憩用の別室が用意できている園はまだ良い方ですが、事務所の隅っこが休憩スペースだと電話が鳴ったり、スタッフが慌ただしく働いていたりするので、食べ終わったら持ち場に戻らないと…!と思ってしまいます。

トイレすら自由に行きづらいので、保育士は膀胱炎になる人が多いんですよね。

当たり前になってしまう保育士の持ち帰り仕事

持ち帰ってする仕事は、子供と過ごす以外のほとんどの仕事です。

  1. 保育計画書
    月案・週案・日案などの保育計画。これを元に日々の保育内容が決まるため、とても大切な書類です。
  2. 園だより・クラスだより
    保護者に配布する園からのお知らせ。基本的に月1回の発行です。
  3. 保育経過記録
    個々の子供たちに関する記録。
  4. 行事準備
    計画書や保護者へのお知らせなどの事務作業から、発表会に使う衣装や小物制作など。
  5. 壁面などの装飾物
    保育室に飾る季節の制作物。

紙媒体に依存していることが多いので、かなり効率の悪い作業がたくさんあるのが保育業界です。

最近では、ICカードや連絡帳アプリなどのIT化を進めている園もあるので、もっと作業が効率的になっていくことを期待したいですね。

残業の実態は園によって差がある

私の周りにいる保育士を例にご紹介しますが、職場によって差があることがよく分かります。

A保育園の場合

実働8時間9時間拘束のシフト勤務ですが、8時間で帰れたことはありません。

たとえば早番出勤すると16時終了ですが、この時間の勤務の人が園バスに添乗することになっていて、園に戻ってくるのは17時半くらい。ただ、この場合は残業代が自動的に支払ってもらえるので特に嫌でもないです。

でもたとえば18時終了の日は、保護者対応に追われる時間なのでとても先に帰ることができない状況で残業になるけどなかなか申請することもできない状況…。

遅番だと子どもが帰るまでですが、何時になるかは当日次第。

行事やカリキュラムが多くて、持ち帰って夜中まで作業をすることも少なくないので、体力のある若い保育士しかいません。

B保育園の場合

残業はほぼありません。

というのも、預かりは18時までで延長保育が無く、閉園後に事務作業や明日の準備が終わるからです。
土日祝はもちろん、お盆休みもあるので忙しすぎると感じることはないですね。

C保育園の場合

シフト勤務の3交代制です。保育士の入れ替わる時間帯が毎日同じで分かりやすいこともあって、時間になると「もういいよ、お疲れ様!」と声をかけてもらえるから自然に定時あがりになることが多いです。

行事前などで忙しい時は残業を頼まれることがあるので、繁忙期は勤務時間が長くなりがちです。

このようにけっこうな差がありますが、園長や経営者が決めたルールによるところが大きいと言えます。

上記の3パターンを見ると、A園の環境が最も良くないと感じる人が多いでしょう。でも、A園で働く友人は、この職場が大好きなのです。

仕事以外で出かけるほど関係の良い仲間がたくさんいて、特徴のある保育内容にやりがいも感じています。

もちろん、サービス残業や持ち帰り仕事は無くすべきだと思います。
でも、国や市からの補助金と保護者からの保育料しか保育園に入ってくるお金はないので、払いたくても全ては払えないのかもしれませんよね。

だとしたら、出来る限り残業が少なくなるように努力している園、園長を含めた全員が協力し合える人間関係の良い園で働くことが1番良い環境じゃないかと思います。

転職活動をするポイント

もし今の職場に不満を感じているなら、転職をするのも良いと思います。複数の園を経験するのは決して悪い事ではないです。

転職を考えたら求人探しをするのですが、まず大前提としてハローワークはおすすめしません。

ハローワークには無料で求人掲載できるのをいいことに、ブラック保育園の求人が紛れていることがあるからです。

そして、ハローワークの職員は、求人票の情報以外なにも知りません。保育業界がどうゆうところなのか、保育士が悩みがちなことは何かなどは当然分からないですし、求人を掲載している園に関してもほとんど知らなくて当たり前の状態です。

求人票に載っている事以上のことを求めても、「面接の際に伺ってください」と言われて終了でしょう。

求人情報以外に園の情報を効率よく集めるには、保育士向けの転職サイトを利用するのが1番です。
しかも、ハローワークや求人誌にはない優良の非公開求人が多くあるのも特徴ですから、使わない理由はないでしょう。

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ただ、保育士専門の転職サイトもたくさん種類があり、中には希望とは違う園を紹介してくる良くないところもあるようです。

私が実際に登録してお世話になった、信頼でできる転職サイトを紹介しておきますね。

転職サイトごとに特徴も違うし担当してくれるコンサルタントとの相性もあるので、2~3つ登録しておくのがコツですよ

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さいごに

私個人的には、残業があること自体は仕方ない部分もあると思っています。
きっと保育士のほとんどの方々もそう思っている部分はあるでしょう。

ただ、残業が少しでも減らす努力をしてくれているか、助け合える環境があるかなど、精神的な部分で納得できないことが多すぎるのだと思います。

保育士処遇改善のための補助金を申請して、少しでも保育士に還元できるように努力してくれる園だったら頑張ろうと思えるのが人間関係ではないでしょうか。

保育の仕事が好きという気持ちがあるなら、人間関係の良い=保育士を大切にしてくれる職場に出会って、笑顔で働ける環境を見つけてくださいね。

  • この記事を書いた人

あや先生

認証保育園2年、認可保育園で正社員として10年間勤務しました。その他、派遣保育士として3園での勤務経験もあります。2児の母でもあり、正社員時代に産休、育休を経て復帰もしました。正社員の立場、派遣の立場、母として、保育士として、様々な経験から保育士の皆さんの力になりたいと思っています。

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