毎日元気いっぱいに遊びまわる子どもたちと過ごしていると、ヒヤッとする経験たくさんあると思います。
保育園は子どもたちを安全にお預かりするというのが最大の役目。
数年前に私が実際に勤めていた保育園で、子どもが2人いなくなったことがありました。
恐ろしいことです。幸いにもすぐ無事に見つかったのですが、もし…と考えると怖いですよね。
最近では園児の脱走や公園での置き去りがニュースにもなったり、死亡事故も起きています。
広島 発達障害の男児 保育園の保育中に死亡
どうしてそんなことが起こってしまったのか、どうすれば防げるのか。
事故を未然に防ぐために、情報を共有したいと思います。
今、保育園で働いている方、保育園にお子さんを通わせている方、その保育園の安全対策は大丈夫ですか?
実際の事例:園児が脱走した?!

大人数でのお散歩
ある天気の良い冬の日でした。
2歳児クラスでは、午前中に園外の公園までお散歩に出かけていました。
2歳児の在籍は45名ですが、だいたい毎日の登園数は38名くらいだったと思います。
保育士は10名。
体調不良で保育室に残る子どもが数名いたので、お散歩には子ども35名位と保育士9人で行っていました。
国の基準では、子ども6人に保育士1人の配置と決まっていますが、4人に1人の配置をしていました。
園児がいない?!
お部屋に入る時に、園児の数をカウントしています。
ですから、その時には確かに全員いたのです。
でも、部屋に戻って手洗いをして、トイレに行かせて…などバタバタが落ち着いてお給食の準備を始めようとした頃、事件が発覚しました。
どこを探しても、子どもが2人いない!!
保育園全体で連携
その園は、近隣にいくつか姉妹園があるような中規模保育園でした。
全園と本部に連絡が入りました。
こんなことは初めての事態でしたので、かなりの驚きと緊張が走りました。
保育から離れられる職員は全て、園内・園外を探し回りました。
園児が見つかったのは外だった!
事件が発覚して5~10分程すると、園児が見つかったという連絡が入りました。
数字にすると5~10分なのに、ものすごく長く感じる時間でした。
そして、見つかったのが園外の道路の手前…!
園から100mくらいの場所に、片側3車線の大きな道路があるんです。
その大きな道路を渡ろうとしていたのかと思うとゾッとしてしまいます。
事故の原因は?
無事に見つかったから良かったものの、絶対にあってはならない事故ですよね。
原因と対策を考えなくてはいけません。
扉の鍵
この事故が起こってしまった原因の1つは扉の鍵でした。
建物の2階に複数の保育室があり、各保育室の鍵は開いたままで、2階に入る扉だけに鍵をかけていました。
でもその鍵は、外からは鍵で開閉しますが、中からは手で回すだけで開けられる鍵でした。
子どもは意外とできることが多いもの
まさかその鍵を子どもが開けられると思っていなかったのですよね。
でも、先生やお母さんたちが開けたり閉めたりするのを、しっかりと見ていたんでしょう。
しかも、鍵の位置は大き目な2歳児だったら手を伸ばしてギリギリ届く高さでした。
大人数クラス
いくら子ども4人に対して保育士1人配置されているといっても、1部屋に30人以上の子どもがいると目が行き届かなくなりがちです。
お散歩から戻ってバタバタする中だったとはいえ、子ども2人が部屋の外に出ていくのに気づけなかったのは大問題です。
保育園の対応
保護者への連絡
園内のどこかにいるかもしれないので、探してから連絡していました。
現実には、園外で見つかることになってしまったのですが、幸いにも5~10分で見つかったので、事の経緯と合わせてご連絡していたと思います。
保護者への謝罪
日を改めて、園長・主任(クラスリーダーでもある)が保護者の自宅へ謝罪に伺ったようです。
今回はケガもなく無事に見つかったこともあり、保護者の方は特に問題にすることもなく穏便に対応していただけました。
安全対策を見直した結果
2階入り口の扉の鍵を変える
暗証番号を入力して開閉するタイプの鍵に変わりました。
各保育室の鍵を閉める
保育時間中、扉は閉まっているものの鍵はかけていなかった保育室のドア。
大人が開閉するように、高い位置に鍵を取り付けました。
2歳児を2クラスに分ける
2歳児を2クラスに分けることで、目が届きやすくなるように改善されました。
大きな一部屋だった保育室を、可動式の壁で仕切れるようにしています。
夕方子どもが少なくなると2クラス合同で過ごしたり、臨機応変に対応しています。
まとめ:子どもは想像を超える行動をすることがある
この事故においては、
- 子どもが鍵を開けられると思ってなかった
- 子どもに目が行き届いていなかった
この2つが大きな原因でしょう。
小さいからまだこれは出来ないだろう、と油断は禁物ですね。
ベランダで洗濯物を干している最中に、子どもが部屋の中から窓の鍵を閉めてしまって部屋の中に入れない!なんて話を聞いたことありませんか?
1歳になったばかりの子どもでも、回すだけの鍵は閉められちゃいます。
でも開けることが出来ないから大変(汗)
話が逸れましたが、思っている以上に子どもが出来ることは多いんですよね。
保育園はこれでもか!というくらい安全対策をしておく必要があるなと思います。
(全く危険がない環境は無理でしょうが)
そして、常日頃からヒヤリハットを活用していく必要があります。
ハインリッヒの法則(1:29:300、分析により導かれた労働災害の発生比率)では、1 件の重大事故のウラに、29 件の軽傷事故、300 件の無傷事故(ヒヤリハット)があると言われています。
厚生労働省 ヒヤリハット活動でリスクアセスメント
職員同士、ヒヤリハットを共有していく事で、大きな事故は防げるかもしれません。
そういえばこんな事あって危なかったな…と思っても、忙しさにかまけて後回しにしていた事が、重大事故に繋がりかねません。
それと、子どもにきちんと危ないことを教えていくことも必要ですね。
1歳でも2歳でも、きちんと伝えればダメな事は分かりますから。
保育園での悲しい事故が無くなりますように…。
もし、保育環境の悪い園なら改善を!