保育士として働くために必要な保育士資格。国家資格である保育士資格は一度取得すれば失うことはありません。
しかし、保育士としてスキルアップしたいと考えたときには、さまざまな方法でスキルを身につけ、スキルアップやキャリアアップをすることが可能です。
最近では教育面の充実をはかる保育園も多く、認定こども園の求人も増えてきていますので、保育士以外の資格を取得することで仕事の幅が広がるというメリットもあります。
保育士としてスキルアップしたい、仕事の幅を広げたいと考えている方へ。園内でのキャリアップ、そして保育士としてスキルアップする方法をご紹介します。
保育士キャリアパス・キャリアアップとは
キャリアパスとは、企業内で職務や役職に就くために必要なキャリアアップの道筋です。
平成29年から「処遇改善等加算Ⅱ」という、一定の実務経験がある若手・中堅保育士のキャリアを支援するため、新たな役職を増設し、その役職に就いた職員の賃金に加算する制度が始まりました。
今までの保育士は、役職が園長と主任しかなく、それ以外の保育士はキャリアアップがしにくい状態でした。
そこで国がこの制度を作り、保育士のキャリアアップと、役職に補助金を出して給料改善へと乗り出したのです。
この制度により、新たに「副主任」「専門リーダー」「職務分野別リーダー」の3つの役職が出来ました。
保育士の役職の種類
園長
保育園の経営や保育士の管理、子どもの保育や保護者対応など保育園の運営に関する全てことの総責任者。
主任保育士
園長をサポートしながら、保育の現場での責任者。
副主任
主任保育士をサポートし、若手保育士を育成をする。
専門リーダー
高い専門性に基づき、乳児リーダーや幼児リーダーとなり、保育士のサポートや指導を行う。
職務分野別リーダー
乳児保育、幼児教育、障害児保育、食育・アレルギー対応、保健衛生・安全対策、保護者支援・子育て支援の各分野の専門的知識を持ち、他の保育士への指導も行う。
各担任
担当クラスを持ち、保育を行う保育士です。子どもとの関わりや保護者対応など、仕事内容は多岐に渡る。
園長へのキャリアパス
園長になるためには、2つの方法があります。
1つは自分で保育園を立ち上げること。もう1つが、保育士としての経験を積み園長職に就くことです。
特別な資格は必要ありません。保育士資格を持っていなくても園長になることは可能なのです。
しかし、保育士としてキャリアアップをしながら園長を目指すためには、保育士資格は必須。クラス担任、リーダー、主任保育士とキャリアアップをしながら、10年以上の経験を積み園長職に就くことがほとんどです。
主任保育士へのキャリアパス
主任保育士になるためには、保育士経験が必須です。主任保育士は現場の責任者として保育士の指導を行う場面が多くなります。
豊富な経験でアドバイスを行い、円滑に質の高い保育が行える環境を整えることが必要です。同じ園で10年以上の経験を積んで主任へというキャリアパスもありますが、新設の保育園では5年以上の保育士経験で主任職の求人を出していることも。
保育士の相談に乗ったり園長との橋渡しも行いますので、周りの保育士に慕われる人柄も求められます。
副主任育士へのキャリアパス
新しく出来た副主任になるには条件があります。
①経験年数おおむね7年以上
②職務分野別リーダーを経験
③キャリアアップ研修におけるマネジメント+3つ以上の分野の研修を修了すること
④研修修了後に副主任保育士等としての発令
この4つが満たされた時、副主任へとキャリアアップできます。
副主任保育士になると月額4万円の処遇改善があります。
専門リーダーへのキャリアパス
新しく出来た専門リーダーになるには条件があります
①経験年数おおむね7年以上
②職務分野別リーダーを経験
③キャリアアップ研修うち、4つ以上の分野の研修を修了していること
④研修修了後に専門リーダーとしての発令
この4つが満たされた時、専門リーダーへとキャリアアップされます。
専門リーダー保育士になると月額4万円の処遇改善があります。
職務分野別リーダーへのキャリアパス
新しく出来た職務分野別リーダーになるには条件があります。
①保育士としての経験年数がおおむね3年以上ある
②担当する職務分野のキャリアアップ研修を修了すること
(乳児保育、幼児教育、障害児保育、食育・アレルギー、保健衛生・安全対策、保護者支援・子育て支援)
③研修修了後に職務分野別リーダーとして発令されること
職務分野別リーダー保育士になると月額5千円の処遇改善があります。
保育士スキルアップとは
保育士スキルアップとは、さまざまな経験や条件のもとに園内で役職が上がっていくキャリアパスとは違い、経験や学びを通して自分の保育技術や保育力を向上させることです。
スキルアップを目指して日々学ぶことで、保育の質が高まり保育士として求められる場面が多くなります。
また、技術を身につけることで仕事の幅が広がり、自分のライフステージに合った自由な働き方を選べるというメリットもあります。
このように、保育士としてスキルアップを目指すことは選択肢を広げることにもつながります。
保育士スキルアップのための資格
保育士としてスキルアップすることのできる、保育士以外の資格はたくさんあります。資格を取得することで、保育技術の向上を目指すこともできますよ。
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保育士のスキルアップ研修もあります
保育士がスキルアップするためには、研修に参加することも効果的。知識を得ることで、保育の幅が広がり自信をもって働けるようになります。
スキルアップ研修の1つが、保育の質の向上と保育士の専門性の確立を目指す「全国保育士会」が開催している研修会。
自分が学びたい分野や保育経験、キャリアに合わせた研修の受講が可能です。
受講するためには、受講を希望する研修の申込書に記入をしてFaxにて申し込みをする必要があります。
申込書はホームページ内で入手することができます。研修内容によって受講料は異なり、申し込み後に費用振り込みの案内が届き送金という流れです。
研修内容によっては、事前の論文提出が必要な場合もありますので、自分がどの研修を受講したいかを把握した上で、研修日と申し込み日時を確認してくださいね。
保育士のキャリアアップ・スキルアップで大切なこと
保育士がスキルアップ、キャリアアップをしたいと考えたときには、いくつかのポイントがあります。
自分の目指すスキルアップ、キャリアアップに合った方法を選んでくださいね。
【ポイント1 現職でできる経験を大切にする】
- 現場経験を積む
- 資格取得を目指す
- 全年齢クラスに携わっておく
- 研修や勉強会に積極的に参加する
- 率先してリーダー業務を引き受ける
保育は経験とよく言いますが、現場経験を積むことも1つのスキルアップです。
そして経験を積むだけではなく、研修会への参加や子どもに関わる他の資格の取得を目指すなど、保育士として働きながらできるスキルアップはたくさんあります。
園内で主任や専門リーダーなどへのキャリアアップを目指すときには、積極的に行動する事も重要ですよ。
【ポイント2 ライフステージの変化に応じてキャリアを見直す】
結婚や出産など、ライフステージの変化で保育士としての働き方を変えなければならないとき。
また、保育士としての経験を生かして異業種を目指したいと考えたとき。今までとは違ったキャリアが必要となります。
例えば出産を経て職場復帰をしたときには、今までのように多くの時間を仕事に費やすことはできません。
勤務時間内で仕事は終わらせる。しかし、仕事の質は落とさないという技術が必要になりますね。
そのためには仕事の効率を考えるというスキルアップが大切です。
この経験は子育てが落ち着いてからも、保育士として働く上で必ず役立ちます。
また、保育士としての経験を生かして異業種を目指したいと考えたときには、異業種に必要な資格の取得や技術を習得する必要があります。この経験が結果として保育士としての幅も広げることになるのですよね。
ライフステージが変化するときには、スキルアップのチャンスです。
保育士としてできる仕事が減るとマイナスに考えるのではなく、今までとは違ったスキルを身に付けるチャンスと前向きに捉えてくださいね。
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