保育士という仕事に魅力を感じているものの「業務が多いみたいで…」「年齢的に無理かも」と不安を抱えている人、保育士資格はとったけれど「残業の多いらしい…」と保育園で働くことをためらっている人は少なくないようです。
でも、いま、保育士不足が叫ばれていることもあり、保育士さんが働きやすい環境を整える保育園が少なくないこと、ご存知でしょうか。
たしかに、業務も多く、責任も重いお仕事ではあるけれど、子どもの笑顔や成長を目の当たりにできて、さらには「ありがとう」といわれる…、保育士は、やりがいのある、本当に幸せな仕事といえるのです。
ここでは、保育士資格のとり方から、仕事の流れなど、気になるあれこれをまとめてみます。迷っている方が、一歩踏み出すきっかけになればと思います。
保育士の仕事内容
保育士は、子どもを護り育み、その家庭も支援する、社会に欠かせない大事な仕事です。実際には、どんな役割を担っているのでしょう。一日の仕事の流れをおおまかにご紹介します。
保育士の1日の流れ
いずれの場面でも、主に保育を担うのは担任・サブ担任ですが、パートタイム保育士や保育補助スタッフも加わってひとつのチームとなり、無理のない保育運営につとめます。様々な形態の働き方があるからでしょうか、新卒保育士、子育てがひと段落したママ保育士、孫育て年齢のスタッフなど、多様なスタッフがいて、保育に厚みが生まれています。
保育士の仕事内容 書類
<毎日>
○連絡ノート:主に担任が午睡中に記入。保護者とのコミュニケーションをはかるもの。保護者からは、食事・睡眠、体調を中心に家での様子を記入していただき、園からは保育中の様子、食事・午睡、体調などをお伝えします。困ったこと、できないことよりも、できるようになったこと、褒めてあげたいことなどを率先して記入する方針の園もあります。また、連絡帳は、保護者とのコミュニケーションツールであり、悩みをキャッチするきっかけとなる場合もあります。
○睡眠記録:午睡の見守りの際に記入。睡眠時突然死症候群など、午睡中の事故を防ぐため。
○登園簿:園児が登園、欠席したかを記入。
○排泄記録:排泄介助の際に記入。健康管理の一環として。
〈毎月〉
○指導計画(年間、月間、週間)(クラス月案、個別月案)
年間保育計画はこれからの1年間どのような保育をするかの大枠となるもので、年齢や発達に応じ、子どもの状況や発達を見通して作成します。
この計画をもとにして、月間、週間と短く区切って具体的に生活に即した保育計画をたてます。
いずれも担任が1年、毎月、毎週、スタッフと意見交換しながら作成します。
○児童票
子ども一人ひとりの成長過程や保育経過などを簡潔にまとめたもの。
○配慮児記録
障害児や、配慮が必要な子については更に細かな個人の記録を作成します。
○クラスだより、おたより
クラスの様子を文や写真で伝えます。保育で必要な物など、お知らせものせます。
〈その他〉
避難訓練記録、行事計画表、怪我記録、個人面談記録、ドキュメンテーション、会議録などがあります。
保育士の仕事時間
保育園の開所時間は、園によって多少異なりますが、一般的には7時〜18時を基本とする場合が多いです。
延長保育は20時までを基本に、認可外では22時までという施設も多くみられます。
延長保育は施設の規模、家庭のニーズによって設定されていて、地域性もあり、多様化がすすんでいます。
保育士のシフトは通常、早番、中番、遅番の3つに分かれています。
早番は7時頃から16時頃、中番は9時頃から18時頃、遅番は10時半ごろから最終までといった時間帯に分ける現場が多いですが、パートタイム保育士をまじえて5交代シフトにするなど臨機応変に対応しています。
土曜勤務は交代制で、4週6休、あるいは7休という施設が多いようです。
最近では、土曜出勤の分を平日休みにして完全週休2日の園も増えてきました。
残業の状況は、施設によるといっていいでしょう。
行事の前後は残業時間が増える傾向にはありますが、近年では、残業を抑えるためにパートタイム保育士や保育補助を増員したり、行事の装飾の手作りを控えたりと、業務を合理化する園も増えています。
保育士の仕事で大切なこと・大変なこと
保育士として求められること、欠かせないことはなんでしょう。
基本中の基本となるのは「子どもへの愛情」であることは、いうまでもありません。
保育士は「目の前の子どもにとって最善なものはなにか」を常に念頭に置いて、日々の保育計画をたて、その子の成長発達に寄り添いながら、安全な保育時間を提供することが求められます。
また、子どもを大切にするためには、その保護者を支援する、子育てサロンといったものを開き地域の子育て環境をよくするといった視点も欠かせません。
保護者の悩みを聞き、関連情報をお伝えするなど、必要な社会資源につなげていくことも大切な役割です。
保育士は、いわば子ども相手の肉体労働ですから、厳冬の散歩がきつかったり、腰痛が悪化したりということもあります。
ですが、子どもの成長や笑顔を見られたり、保護者の方から感謝の言葉をいただいたりすると、疲れもふっとんでしまうのは、どの保育士も同じでしょう。
重い責任をもつ専門職という点から、もっとお給料があがってもよいのではと多くの人が感じていると思います。
保育士不足という状況を受けて、給与や勤務時間など待遇を見直す施設もあり、今後のさらなる改善に期待したいところです。
保育士になるには
保育士資格をもっていなくとも、保育補助といったお仕事につける場合もありますが、資格保有者限定で求人をしている園は少なくありません。 子育て経験・社会人経験が活かせるので、ママの再就職にぴったりなのが「保育士」!少子化が進んでいますが、共働きが普通になってきた現在では保育士のニーズはまだまだ高いです。 今回は子育て中に働きながら保育 ... 続きを見る
保育士資格をもっているかどうかは、就職の際に有利なのはもちろん、就職してから待遇に差がつくといったこともあります。
なにより、資格取得にむけて専門知識をしっかり学んだことは、保育への自信にもなり、園を利用する親子さんにとってもメリットがあるといえます。
保育士資格を取得するには、大きく2つのルートがあります。
ひとつは、都道府県知事が指定する保育士養成施設で相当の単位を履修し、卒業することです。
同じ夢をもつ仲間といっしょに学べることは、学生時代には大きな励みとなりますし、実際に現場に出てからは仕事の悩みを共有し、スキルを高め合えるというメリットがあります。
もうひとつのルートは、厚生労働省によって行われる国家資格に合格することです。
「保育原理」「子どもの保健」など8つの科目試験に加え、「造形表現」「音楽表現」「言語表現」の実技科目からいずれか2つを選択して受験します。合格率は、年によってばらつきはあるものの10〜20%です。
受験には年齢制限はなく、独学で挑む人、通信教育で学ぶ人もいます。
合格した科目は3年間有効になるため、この制度を利用して、長期計画をたてて受験にのぞむこともできます。
なお、大学・短大を卒業している場合は、保育士とは関係のない学科であっても受験資格がありますが、高校・専門学校卒業などの場合には受験するのに条件があります。
保育関係施設で実務経験がある場合なども、細かく条件が定められています。
くわしくは一般社団法人全国保育士養成協議会HPで確認しましょう。
保育士資格を独学で子持ち主婦が働きながら取得した方法!