2018年に政府が「幼児教育・保育無償化」を2019年10月から実施すると発表しました。
子育て世帯には嬉しいじゃない~♪
だけど、実施するための設計図がしっかりできてるのか?不安なんだ…。
保護者から保育料をいただかないということは、国が園や保護者へ補助金を出すってことですが、
- そのお金はどこから出てくるのか?
- そもそも何の目的で幼児教育・保育無償化するのか?
- 待機児童問題はどうなる?
- 保育士の処遇改善は大丈夫?
と、いろいろと気になることが出てきました。
何のための無償化?施策の優先順位はそれでいいの?
少子化対策というのなら、高所得者も含めた幼児教育無償化に大金を使う前に、もっとやらなくてはいけない事があるのでは?
幼児教育・保育無償化 認可外も補助対象へ #日テレNEWS24 #日テレ #ntv https://t.co/Mrf0fJspUQ
— 保育士ヨーコ (@yoko_sensei) 2018年5月30日
幼児教育・保育無償化の財源はどこからくるのか?
消費税10%に引き上げされた時の増収が使われるようです。ただ、これは当初借金の返済にあてるはずだった財源…。
2019年10月から消費税10%に引き上げた場合、5兆6000億円程度の増収が見込まれています。そのうちの1兆7000億円を教育・保育無償化に充てることにしているのです。
借金返済はどうなるのでしょうか?
借金返済を先送りにすれば、子どもたち孫たち世代にしわ寄せが行くだけの話じゃないのでしょうか?
そこまでして幼児教育・保育無償化をする目的は何なのでしょうか?
幼児教育・保育無償化の目的
安倍総理大臣は「日本が直面する最大の課題は少子高齢化。子育て世代への投資のため、子育て世帯の負担を軽減し、全ての子ども達が質の高い教育を受けられれるようにしたい」と考えています。
要するに、「子どもの教育にお金がかかるから子どもを産めない」という人に対して、幼稚園・保育園の保育料無料にするからどんどん子ども産んでね!ということですね。
ただ、現状で幼稚園・保育園の保育料は、所得やきょうだいの有無、ひとり親家庭などの条件によって、金額の差がかなりあります。
低所得世帯や3人目の子どもなどで、すでに保育料タダもしくは数千円という家庭も多くいるはずです。
認可園や幼稚園の場合は、そういうことになります。借金返済を先送りにしてまで、高所得者も無償化することが「今」必要なんでしょうか?
低所得家庭・ひとり親世帯など、緊急度の高い支援を最も優先するべきじゃないでしょうか?
政府の中には、義務教育の年齢を引き下げることを目指すという声もあがっています。幼稚園が義務教育になるかもってことですね。
海外では、「小学校入学前の子どもの教育が、その後の人格形成や生活レベルに大きな影響を及ぼす」という研究報告が相次いで発表され、幼児教育の無償化を実施する国が増えています。
これ、今さら?と感じるのは私だけじゃないはず。
幼児教育に携わる保育士や幼稚園教諭、ベビーシッターなど全ての人がとっくに分かっていること。
だから、あれやこれやと保育計画を立てて「五感を刺激しましょう」とか「のびのび自由に」とか「本物に触れる機会を」とか頑張ってるんじゃないですか?
そうやって子どもたちの未来のために頑張っていいる保育士の働く環境を改善することが先じゃないですか?
待機児童問題はどうなるの?
政府の狙い通り、幼児教育・保育無償化によって子どもが増えることは喜ばしい事だと思います。でも、待機児童問題は大丈夫ですか?
少子化と言われる今でさえ保育園に入れない人がいるというのに、子どもが増えればさらに待機児童が増えるのは明らかです。
認可園に入れず、質に不安を感じながらも認可外の施設に通わせるしかない家庭もたくさんあります。
幼児教育・保育無償化が先走りすれば、箱が足りない→質の確保がされていない園が増えるということも充分予想できますよね。
幼児教育・保育無償化を実現したとしても、施設が足りない・教育の質が低下するようなことでは、本末転倒です。
それに、学童保育の不足も問題です。小学生になっても待機児童問題がつきまといます。
保育士の処遇改善は大丈夫?
また、ずっと言われている保育士不足にも拍車がかかるでしょう。
保育士の処遇改善施策も、まったく的外れというか…。実際に恩恵を受けていると感じている保育士は少ないです。
経歴の長いベテラン保育士に対する昇給はもちろん必要ですが、もっと「保育士になりたい」と思えるような施策がないと保育士不足は変わらない。
- 給与は経験年数に関わらず全体的に底上げ
- 残業代がきっちりつく仕組み
- 書類仕事の簡素化
こんなことを、多くの保育士が願っています。
特に、書類仕事の簡素化は国の力をもって実施すべきだと感じます。
アプリやソフトを国が作って、「月案・週案・日案」「児童票」「出勤簿」などの一連の書類が簡単に管理ができる仕組みを作るのです。
サービス残業・持ち帰り仕事のほとんどは「書類」なのですから、もっとIT化していくべき。そういう具体的な施策に大金を使って欲しいです。
まとめ
私自身子どもを持つ母親ですから、幼児教育・保育無償化は大変嬉しいことです。やっぱり子育てってお金がかかりますからね。
ただ、いきなりそこ?というのが、率直な感想です。
少子化を食い止めたい気持ちは私も同じです。経済的理由で子供を諦めることのない時代になって欲しいと心から思います。
ただ、その時代を作るための手順を間違えたら、何のための無償化?誰のための無償化?という結果になることが心配です。
子どもの立場、親の立場、保育者の立場、子どもがいない世帯の立場など、あらゆる角度から検討が必要です。
すでに検討しているのであれば、きちんとビジョンが見えるようにして欲しいですね。
保育士を夢見て上京し、都内で1人暮らしをしている若者の現状。
認可外の園で、保育の質に不安を感じながらも預けるしかない親の現状。
学童に入れないから小学校入学後から家で留守番するしかない子どもの現状。
あらゆる声がきちんと届きますように。
保育士として働く環境に不安を感じているなら、今からしっかりと管理された職場で働くようにしましょう。まずはプロに相談を!
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